
Tokyo Grid
Photographer
Yasmine Hamani
Country
Germany
Description
「Tokyo Grid」は日本滞在の最終日、高層ビルのバスルームのガラス越しに、ほんの数秒のうちに撮影されました。チュニジア出身の私は、東京の巨大なスクランブル交差点を何日も駆け抜け、カメラを手に光と音と人の流れに圧倒されていました。交差点を渡るたびに、それはまるで別の次元へと足を踏み入れるポータルのように感じられ、常に混沌とし、速く、刺激が強すぎました。
しかし、この瞬間だけは違いました。上から見下ろした交差点は、静かで、ほとんど無音のように感じられたのです。白線は幾何学的で、リズミカルで、完璧に構造化されて見えました。滞在中で唯一、交差点を「静止したもの」として捉えることができた瞬間でした。
この写真は、私が日本の空間と動きをどのように受け止めたかを表しています。日本社会の秩序正しさや精密さは、私にとってはむしろ混沌に映り、慣れない異質なものだからこそ圧倒される。そうした複雑な感覚を象徴するのが、この静かな観察のひとときでした。整然としているのに圧倒的、魅力的なのに戸惑う。そのパラドックスそのものが、私にとっての東京体験でした。
この一連の写真は、これまでで最も重要な作品の一部であり、写真、文化、そして現実をどう捉えるかという私自身の視点に転換をもたらしたものです。
Short Bio
ヤスミンは、チュニジア出身でベルリンを拠点に活動する24歳のビジュアルアーティスト/映画作家。グラフィックデザインと映像制作を学んだが、原点は常に「写真」であり、都市のリズムや人の動き、文化と空間の交錯に関心を持っている。ベルリンや東京で作品を展示してきたほか、旅を通じて「秩序と混沌」「存在と移ろい」といったテーマを追究。特に初めて訪れた日本での体験は、空間や動き、感情をどうフレーミングするかに大きな影響を与えた。彼女の写真は「風景」ではなく「その場にいる感覚」を切り取ることを目的とし、人間の歴史を感情とともに記録する試みでもある。