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The Long Summer (Extract)

Photographer

Esteban Ochogavia Ascensao

Country

Belgium

Description

『The Long Summer』は、ブリュッセル、パリ、フランス南部、マヨルカ、バルセロナ、カイロ、香港で撮影された多重露光のフィルム写真シリーズです。2023年3月、9年間暮らした日本を行政上の手違いで離れざるを得なくなった直後に始まりました。
この断絶に伴う混乱から生まれた本作は、地理の記録というよりは感情の視覚的マッピングです。時間がずれ、場所がぼやけ、アイデンティティが定まらず漂う、まるで幻覚的な風景として展開します。

同時に、場所との関係性だけでなく、写真という表現手段そのものに挑む概念的欲求が芽生えました。中心にあるのは「Disrespect Yourself(自分自身を軽んじよ)」という個人的挑発です。完璧な構図や決定的瞬間への敬意を拒み、フィルムを無作為に再装填し、順序や結果を顧みずに二度露光を繰り返しました。

その結果、過去のイメージを消去しかねない大胆な二重露光が生まれ、新たな可能性を示します。記憶のように層状で断片的、意図せざる視覚言語。秩序の否定と儚さの肯定。

この写真群は明晰さよりも質感を求め、物語よりも感覚を探ります。単一イメージの権威に抗い、メランコリックで変容し続ける記憶そのもののようなビジョンを提示します。

Short Bio

エステバン。ベルギー・ブリュッセル生まれ育ち。スペイン人の父、ポルトガル人の母を持ち、強固な地域アイデンティティや帰属意識の欠如から、可能な限り早く故郷を離れ、他の環境や文化、そして自身のアイデンティティを探求。バルセロナ、ロサンゼルス、北京、パリに住み、2013年に東京に定住。東京はカメラを手に取るきっかけとなった場所です。

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